レーシックに次ぐブームに?眼内コンタクトレンズ「ICL」の希望と限界

 過去に一大ブームとなった視力矯正手術「レーシック」も、最近はメディアで話題にのぼることはめっきり減った。そんななか、彗星のごとく現れたのが「ICL」。昨年3月にタレントの指原莉乃がSNSで発信したことで一気に注目を集めたが、ICLとはどういったものなのか。眼科専門医に聞いてみた。(清談社 松嶋千春)

● 玉石混交だったレーシック ライセンス制が厳格なICL

 ICL(Implantable Contact Lens)は、眼内にレンズを挿入し視力を矯正する「
屈折矯正手術」のひとつ。その成り立ちと特徴について、北里大学医療衛生学部視覚生理学教授である神谷和孝氏は次のように話す。(北里大学病院眼科HPはこちら)

 「ICLは1978年より開発が行われ、2003年の臨床治験を経て、2010年に厚生労働省の承認を受けました。日本の屈折矯正手術全体におけるシェアは、3割程度と推定されています。ここ1~2年で認知が進んで、患者さんが増えています。ソフトコンタクトレンズのようにしなやかな素材のレンズを、目の表面ではなく、目の中の毛様溝(虹彩と水晶体の間)という部分に入れるので、割れる心配はありません」(神谷氏、以下同)

 同じく屈折矯正手術のひとつであるレーシックは、角膜をレーザーで削る手術法だ。2000年代からメディア露出が増え、一世を風靡した印象だが「ピーク時と比べると手術件数は約10分の1に減っています」と神谷氏は指摘する。しかし、依然としてレーシックのシェアが大きく、そこにICLが取って代わるほどの爆発的なブームは見られない。このように普及が少しずつとなっているのはなぜなのか。

 「もちろん価格的な問題もありますが、レーシックが登場した際には、眼科の専門領域外からの参入も激しく、急速な広がりを見せました。当時のライセンス制度は形骸的で、術後トラブルへの対応も十分ではありませんでした。ICLの場合は、眼科専門医に限定されており、学会の講習や認定手術を経てライセンスを付与しているため、導入のハードルが高い。この違いも、ICLの普及がゆるやかである一因かもしれません」



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● 角膜を削らず レンズを取り外せる

 
レーシックの場合、クリニックによっては10万円を切るプランもあるが、ICLの相場は両目50万~70万円と、かなり高価だ。

 「視力矯正手術は保険適用外の自由診療であるため、各クリニックによって設定価格はまちまちで、術後検診の回数などの条件も異なってきます。ICLは術前検査をもとに適切な度数やサイズのレンズをオーダーメイドで作るため、レンズ代がやや高価となっています。さらに、レンズが出来上がるまで約1ヵ月近くかかるため、『思い立ったらすぐ手術』というわけにはいきません」

 ICLは元来、強度近視に対する手術として発展してきたが、その安全性・有効性の高さから、最近は中等度近視にも適用が広がっているそうだ。手術によって同じ1.5の視力が出たとしても、レーシックよりも見え方の質が良い。さらに、角膜を削らないことによるメリットもある。

 「角膜をレーザーで削ると、創傷治癒反応(傷口を治そうとする働き)で少し近視が戻るリバウンドの可能性がありますが、ICLではほとんど起こりません。さらに、ドライアイの人がレーシックを受けた場合、角膜を削ることで神経がダメージを受け、ドライアイが悪化するおそれがあります。ICLを受けることでドライアイが治るわけではありませんが、悪化することもないので、ドライアイ向きといえます」

 レンズメーカーの推奨するICLの適用年齢は21~45歳で、過去1年間の視力が安定していることが手術を受けるための条件だ。「永久コンタクトレンズ」とも呼ばれているICLは、ずっと目に入れたままで構わないが、万が一、目にトラブルが起きたときには取り外すことができる。

 「この可逆性という要素は、患者さんにとって大きな安心材料になります。年を重ねれば誰しも白内障になりますが、白内障手術の際に目から
ICLレンズを取り出し、白内障手術用のレンズを入れることも可能です。どちらも『レンズを入れる』という術式に共通点があるため、白内障手術に長けた医師がICLライセンスを取得する傾向にありますね」

● レーシックと同様のリスクも 情報開示してくれる医療機関を選ぶべし

 ドライアイを悪化させず、取り外すこともできるとなれば、ICLは万能なのかと思ってしまうが、もちろんデメリットもある。

 「角膜を本来の状態に戻すために、検査前に1~3週間ほどコンタクトを外して過ごす必要があり、これを怠るとレンズの度数が合わなくなります。また、強すぎる度数で矯正すると、遠くも近くもピントが合わない『過矯正』になってしまうおそれがあるため、医師が最も注意を払っているところでもあります」

 従来は、白内障を引き起こす原因になるといわれていたが、最新の中央に穴のあいた
ICLレンズが開発されてからは、そのリスクはかなり減ったという。一方で、術後のケアの必要性や、ハロー(光の輪が見える)、グレア(光がギラついて見える)といった症状が現れるリスクがあるのは、レーシックもICLも同様だ。神谷氏は、視力矯正手術に対して一歩引いた立場から意見を述べる。

 「『眼鏡をかけると頭痛がする』『コンタクトの着用でドライアイがひどくなっている』など、目の健康に何らかの問題が生じている人の助けとなるのが視力矯正手術です。眼鏡やコンタクトを使って快適に過ごせているならば、あえてリスクを冒してまでメスを入れる手術を受ける必要はないでしょう。もし手術を受けるのであれば、ICLのメリットだけでなく、合併症のリスクについても十分に説明してくれて、医師と患者の信頼関係を築けるような医療機関が望ましいです」

 近年は「コンタクトケアする手間をお金で買おう」など、時短ワザとして手術を勧める文言も見かけるが、盲信的に飛びつくのは禁物だ。「一生モノ」という覚悟をもって、慎重に検討すべきだろう。

松嶋千春




https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191115-00220614-diamond-soci





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